【電子工作】ボタン電池式の照明を単三乾電池式に改造する(実験・試作編)

2018年のやりたいことの中にarduinoを使った電子工作があります。そういう話題をしようかと思ったのですが、今回は全く違う話です。
表題の通り、「ボタン電池式の照明を単三乾電池式に改造する」です。そのまんまです。はたしてこの話題を「電子工作」というくくりにいれていいものかどうかなんとも言えないところですが、電気使ってるし、工作してるし、テスタとか配線とか抵抗とか使ってるからそれっぽいし、電子工作のカテゴリに入れてしまいます。

ことの発端

妻が近所の某100円均一ショップで良い感じの照明を見つけてきました。
「キラキラエッグ」という商品名のようです。

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卵型の、手のひらサイズ(H:9.5cm,W:7.5cm)の大きさの手ごろな照明で、あまりまぶしくもないため、夜にベッドの足元に置いておくのにちょうど良い感じです。ボタン電池で動作する、持ち運びに便利な照明です。で、商品スペックを確認したところ、

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んんん?

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連続使用38~40時間と書いてある。
ちょっと待てよ。例えば一晩を8時間と仮定すると、毎日使用した場合、5日間しかもたないことになるんじゃなかろうか?しかも、

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ボタン電池式で、ボタン電池って普通の乾電池よりも値段が張る場合が多いです。さすがに一週間ごとに電池交換するのはコストの面からいってよろしくない。

ならば乾電池式、もしくはコンセント式に改造しようじゃないか。

という極めて安易な発想から、このプロジェクトが始まりました。

電池のスペックについて

いきなりやり始める前に、仮にボタン電池を単三乾電池式に置き換えたらどうなるかを考えてみました。
ちなみにこの商品に使われているアルカリボタン電池は「LR44」、一般的なアルカリ単三乾電池は「LR6」という規格になります。

規格名 公称電圧(V) 電池容量(mAh)
LR44 1.5[V] 100[mAh]
LR6 1.5[V] 2000[mAh]

ボタン電池も単三乾電池も同じ1.5Vです。したがって、ボタン電池3個直列で動作するものならば、単三乾電池3個直列に置き換えても理論上は問題ないことになります。
ここで大きく違うのが電池容量です。LR44が100[mAh]であるのに対して、LR6は2000[mAh]とおよそ20倍になっています。
mAhとはある一定の電流を流し続けられる時間を指します。例えば100mAhであれば、100mAの電流を1時間流し続けられる電池容量がある、ということです。
電池を直列につないだ場合、電圧は足し算されますが電池容量は足し算されませんから、単純計算で

 100(mAh)  /  40(h) = 25(mA)

となり、25mAの電流が流れている、ということになります。
※mAhはスマホの電池パックの電池容量としてもよく記載のあるものですので、ご存知の方も多いかと思います。

ちなみに、エネループなどの一般的な充電式乾電池の電圧は1.2Vで、3個直列にしてもやや電圧が足りず、場合によっては動かない可能性もあります。今回はそこまで実験していませんが。。。

今回やること

最終的な目標はキラキラエッグをコンセント式に改造することです。が、電池式のものをコンセント式に改造するには少し考えなければいけないことがあり、少し面倒です。
したがって、今回はまず、ボタン電池式のキラキラエッグを単三乾電池式でうまく動作させられるのかどうかを検証し、その試作品を作成します。
試作品でうまく動作するようだったら、量産化を検討します。が、それは次回以降の話、ということで。

では始めよう。

使用したもの

ELPA アナログテスター EAT-01NB

ELPA アナログテスター EAT-01NB

そのほか、おそらく普通にご家庭にあるものとして

  • 単三乾電池 3個
  • マスキングテープ
  • 両面テープ
  • 紙(鉛筆で何か書かれているものはたぶんだめ)
  • 細めの竹串 1本
  • アルミホイルちょっぴり

テスタを使ってみる

人生初テスタです。まず、もとのボタン電池で測定してみます。

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メータを直流10Vに合わせているので、読み取る目盛りは黒の線で値は黒字の一番下です。0と2の間からちょっと2によっている感じなので、1.5Vなさそうな感じです。ま、公称1.5Vなので1.5Vということにしておきましょう。
続いて入れ替えるための単三電池の電圧を見てみます。

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こちらはちゃんと1.5Vあるみたいですね。
じゃあ、今度はボタン電池を3個直列にしてみたらどうでしょうか。

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ん~、4Vにちょっとたりないくらい?
じゃあ単三電池3個直列の場合は?ちなみにこの場合は電池パックが必要です。マスキングテープで無理やりな感じになっていますがそこはご愛敬です。

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こっちは5Vくらいいってますね。。。

やっぱり商品にそのままついてきた電池と新品電池では電圧も違うものなのでしょうか?

つなげてみる

とりあえず、うまく点灯するかどうかチェックです。

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左がマイナス、右がプラスで、電池パックの黒のラインがマイナス、赤のラインがプラスです。つなげる相手を間違えないように、

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はい、点きました。が、どうも明るすぎるような気がします。ボタン電池で点灯させた場合は、

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こんなもんでした。
電圧が同じでも、電流が異なれば明るさは異なるだろう、ということで、今度は電流を調べてみます。

電流を測る

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ダイアルを直流電流の250mAに設定して値を見ると、50mAくらい。
次に、単三乾電池を測ってみると、

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振り切れました。これでは明るすぎるので、抵抗を入れます。
※ちなみに、この後何回かやっているうちにテスタが反応しなくなってしまいました。壊れたっぽい。ご愁傷様。

オームの法則、覚えてますか?

 E(V) = R(Ω) \times I(A)

Eが電圧、Rが抵抗、Iが電流です。今、電圧と流したい電流値がわかっているので、簡単な式変形で抵抗値を出すことができます。

 R(Ω) = E(V) / I(A)

乾電池3個直列なのでE = 4.5(V)、流したい電流がボタン電池と同じI = 0.05(A)とすると、

[tex : 4.5(V) / 0.05(A) = 90(Ω)]

となります。そんなに都合よく指定の抵抗値の抵抗なんてないのですが、たまたま家に220Ωの抵抗がありました。この場合、

4.5(V) / 220(Ω) = 0.023(A)

となり、ちょっと電流が少ないけど、落ち着いた明るさになってかえって良いんじゃなかろうか、というポジティブシンキングによってこのままやることにしました。

抵抗をつなぐ

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電池ボックスの黒ラインにマスキングテープで220Ωの抵抗をつなぎます。試作だからこれで良いのです。本格的にははんだ付けが必要ですけれども。
この状態で電流を測ってみると、

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計算通り、25mAにやや届かないくらいの電流値になりました。抵抗をつないだ状態で点灯してみるとどうなるか。

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写真だとわかりづらいですが、だいぶ落ち着いた明るさになりました。

ちなみに、キラキラエッグはLEDを点灯させる方式をとっています。解体していないのでどんなLEDを使用しているのかわかりませんが、

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隙間からぎりぎりのぞける範囲だとこんな感じです。通常、LEDには「定格電流」というものがあって、流してOKな電流が決められています。定格をはるかに超える電流を流すとLEDが壊れるか、最悪「ぼふっ」っと小さい爆発がおこります。

なんでそんなこと知ってるかって?
実際爆発させたことがあるからに決まってるじゃないですか。

試作品の作成

ここまでで、単三乾電池、電池パック、抵抗という構成でキラキラエッグを問題なく点灯させられることがわかりました。
実験では手で電極をキラキラエッグ本体に触れさせていましたが、さすがに一晩中そうしているわけにもいきませんので、電極を固定する必要があります。はんだ付けをすれば簡単なのですが、今後、乾電池式とコンセント式を簡便に入れ替えられるようにすることを考慮し、ダミー電池を使用することにしました。

ダミー電池?

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すでに見たように、もともとボタン電池を入れる空間しかないため、単三乾電池が3個も入るわけがありません。しかし、なんらかの方法で電極を固定したい。それ本体は電流を流さず、あくまでもスペースをうめて電極を触れさせ、かつ固定できるようにするもの、それがダミー電池です。言葉で説明してもなかなかわかりづらいと思いますので、実際にものを作っていきます。

紙を巻く

本当は木の丸い棒を使いたかったのですが、適度なものがすぐに見つからなかったため、手近にあるもので簡単に作ってみました。

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竹串を軸にして、紙を数枚、きつめに巻いていきます。太さがボタン電池くらいになればOKです。

切り落とす

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ボタン電池と同じくらいの長さにカットします。この時、中の竹串は抜けてしまいました。もちろん、より安定化させるために竹串はあったほうが望ましいです。

アルミホイルに電極を張り付ける

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両面テープを使ってアルミホイルに電極を張り付けます。張り付ける順番は次の通りです。

アルミホイル→電極→両面テープ

これを

アルミホイル→両面テープ→電極

としてしまうと、アルミホイルと電極が接触せず、電流が流れないことになってしまいます。

紙の筒にアルミホイルを張り付ける

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両面テープのはくり紙をとり、さきほど作った紙の筒にアルミホイルを張り付けます。このとき、抵抗は黒のラインにつながっているので、抵抗を張り付けた側が乾電池でいうところのマイナス、赤のラインが乾電池でいうところのプラスになります。向きを間違えないようにしましょう。

はめてみる

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はい、つきました!
ダミー電池を使っているので一晩中手で押さえている必要もなくなりました!

まとめ

ということで、ボタン電池式の「キラキラエッグ」を単三乾電池式に改造するための試作まで完成しました。抵抗を使わなければならないところが想定外ではありましたが、それでもはんだ付けなしでここまでできます。実際には抵抗と電極のはんだ付けが必要でしょうし、ダミー電池をもう少ししっかりした素材のものにする必要はあります。ダミー電池の両端もアルミホイルではさすがに心もとないでしょう。
けれど、実際にできることは分かったので、特にダミー電池の素材を再吟味して、より便利なものに仕上げていこうと思っております。